2021吹奏楽コンクール 愛知県大会高校の部代表選考会 有料配信レビュー&結果
- 豊橋東高校
- 安城学園高校 A編成代表
- 名古屋南高校
- 中部大学第一高校
- 中部大学春日ヶ丘高校 B編成代表
- 日本福祉大学付属高校 A編成代表
- 名古屋大谷高校 B編成代表
- 光が丘女子高校 A編成代表
- 桜ケ丘高校 A編成代表
- 愛工大名電高校 A編成代表
- 明和高校
- 大同高校 B編成代表
- 木曽川高校 A編成代表
- 江南高校 A編成代表
- ちょっと一言
凄い時代になりましたね
コロナ禍で様々問題はあるけど、まさか家でオンタイムで吹奏楽コンクールが聴けるとは。
最初に言っときたいのは、これ多分、ライブの演奏と録音両方聴いた事がある人ってなかなか少ないんじゃないかなと。正直全く違うものになるのでね。
会場にいると音が塊として聴こえてくる。各楽器の細かなニュアンスとかは気にせず聴けるけど、録音だとそうは行かない。マイクの機種や置いてある位置によって聴こえやすい音とそうでない音がある。ダイナミクスもライブよりは伝わりにくい。評価としては非常に難しいんだけど、自分なりに聴いた音を様々置き換えて感想を書いてます。
豊橋東高校
課題曲4 幻想 :コスミッキ
めちゃくちゃ丁寧な演奏。合わせると言う意味では相当のレべルにある。
課題曲は持っている柔らかいサウンドが音楽にマッチして良いマーチ。
自由曲冒頭の各楽器のソロは、聴いてると恐ろしくなるぐらいの難しい音程を難なく演奏していて驚く。難しいね、フランス人は。しかし良い曲。
決してガンガン鳴らしているわけではないが、チューバのソロも含めて低音の存在感が素晴らしい。
あとは、各声部の浮かせ方、合奏としての色の変化がもっとあると良いなと。録音でこれだから会場にいると全体がボワンとした感じになってるんじゃないかなと。
しかし持ってるサウンドは素晴らしいし合わせる技術もある。全体としてこの難しい曲をちゃんと表現出来てたと思います。
安城学園高校 A編成代表
素晴らしくクリアで明快なサウンド。余裕のある技術力で落ち着いて気楽に聴いてられるマーチ。これは結構な褒め言葉です。
課題曲として、どこをどうしたいのかが良くわかるアピール度の高い演奏。
自由曲もしっかりした技術力で冒頭の難所を難なくクリア。声を出すところはしっかりマスクつけるのが凄いね。時代的に仕方ないのかもしれないけど。
名古屋南高校
課題曲5 エルサレム賛歌 A.リード
技術力は高い。しかしこう、アタックが揃わない音が目立つ。アタックに対して息が付いてきてない音が多いと言うか、やや雑に聴こえる。
という理由で課題曲は、不協和な音の中から出てくる音が出にくい。色が見えにくい。全体に平坦なゴチャッとした音楽。自由曲も、我々世代はこの曲は良く知ってるが、もっとスカッと抜ける曲なんだよな。
しかし持ってる技術はみな高い。コールアングレのソロは絶品。
中部大学第一高校
課題曲4 ガイーヌ :ハチャトゥリアン
爽やかな高校生らしいサウンド。前からこの学校のサウンドは好き。
音が小さくなった時が課題かなー。アンサンブルも乱れるし、何より色が変わらない。
音を小さくするというより柔らかくすんのよ。
ガイーヌの各ソロめっちゃ魅力的。高校生が吹いてると思えない。
演奏に関係ないが、ここで気づいた。カメラのスイッチャーさん、スコア読める人。ライブでちゃんとソリストを抜いてるのが凄い。
さて(⌒-⌒; )
編成的に、時代的に、そしてコンクール的にそう行かないのは分かるんだが
レスギンカの金管はもっと行けよーっ!!
音量がどうのじゃなくて、テンションの問題よテンションの。
中部大学春日ヶ丘高校 B編成代表
課題曲1 宇宙の音楽 :スパーク
マーチとしての意識は良いですね。冒頭からいかにもだだ遅れになりそうな曲。しかし低音がしっかり引っ張ってテンポが安定する。しかしメロディーが転がってる部分がある。マーチはこれが難しい。
スパーク、冒頭ホルンカッコいい。各ソロみんな上手いんだが、しかし普段ソロ吹き慣れてないだろうバリサクのソロがさ、なかなか良い色出してた。
金管の短い音にもう少し質感があればなと。なんというか、ダダダダと吹いてくれれば良いのだがペペペペと聴こえるんよな。(なんじゃそれは(;^_^A)
短い音の速い動きは短く切ろうとせずに息は出したまま音を切るイメージ。せっかくテンション高く大きい音出しても質感がないと迫力に繋がらない。
日本福祉大学付属高校 A編成代表
なんかニューウェーブ。と思ったら楫野先生か。こりゃ上手くなるわ。
まとまりと言う意味では素晴らしい。そしてバランスと言うか、和音の色がよく見える演奏。しかし何だろうな、録音という事もあるだろうが音楽としてはやや平坦な演奏でもある。
もう少し「俺が」「私が」という感じがあっても良いかなと思うし、全体を鳴らしに行く場面も欲しい。
全体として、合わせる事が今出来てきた感じ。これから来年に向けて「音楽」にして行って欲しいなと。
名古屋大谷高校 B編成代表
課題曲4 吹奏楽の為の「海の詩・風の詩」 :松下倫士
ここまでで一番「音楽」を感じられる演奏。合奏の「合わせる」という域を超えしっかり音楽として楽しめる演奏。好きだわーこの演奏。
息の流れ、音楽の色、流れの統一感。マスクも黒で統一してるのがまた余力を感じる(;^_^A
課題曲はやや重い感じもするが、こういう合わせ方なんだと思えば納得も行く。
なんというか、名古屋大谷がどうのじゃなく、今の吹奏楽コンクールの金管の抑え方には自分はだいぶ不満がある。
名古屋大谷はその中でもやや雑に感じないでもないが、しっかり音楽として攻めるところは攻めてる。「風」のラストはコンクールとしての許容範囲いっぱいかな。充分感動的なラストだったけど、もうひと突き抜けを期待します。
光が丘女子高校 A編成代表
課題曲5 いざ咲き匂いはざらめやも :長生淳
決して派手ではないが、ものすごーく良い音楽。
全く乱れのないアンサンブル、しかし上手い学校というのはやっぱり出るところは出るし抑えても乱れない。弱音の場面でもしっかり音楽になってる。
フリューゲルとユーフォのソロあたりからの音楽は長生淳らしい、ちょっと泣けるような音楽。
相変わらず光が丘はとにかく正確無比。サウンドも素晴らしい。
だいぶ心動きました。
桜ケ丘高校 A編成代表
課題曲4 吹奏楽の為の風景詩「陽が昇る時」 :高昌帥
ちょっとすっきりした。この課題曲、何か知らんがやたら金管を抑えて演奏する学校ばかりなんだが、この学校は金管が金管としてしっかり主張してる。自分はこういう演奏が好き。主張してるとはいえ決して固くならず、耳に心地よい金管だ。
自由曲の前半は長いフレーズを見事に表現してた。6/8に変わった直後はリズム的に大丈夫かなと思ったが、その後はしっかりとリズムをとらえてた。終盤の強奏で息切れ感があったかな。フレーズがだいぶ短くなってたなと。
しかしこの学校、もう少し評価されていいのではないかと思う。代表になってて欲しい。
愛工大名電高校 A編成代表
圧倒的!!
バンドの鳴りが段違い平行棒(;^_^A
模範のような課題曲。何がしたいか、楽譜のどこがどうなってるのかめちゃわかる演奏。冒頭からメロディーに入ったところの低音、他の学校が、というより吹奏楽コンクール的にこういう場面抑え過ぎだけど、名電は存在感抜群。これからマーチ始まりますと言う感じで自分は大好き。
自由曲はなんと攻めた選曲を(;^_^A
始まった瞬間に「オケより良いかも」と思わせる音楽。吹奏楽として素晴らしい木星。
褒めだしたらキリないからやめるけど、名電ぐらい圧倒的な技術力持ってたらオリジナルのごちゃごちゃした曲やるよりボロも出やすいけどこういう曲の方が圧倒的な差を感じやすい。正直相当関心、感動してます。まだ県大会代表選考会やのに(;^_^A
明和高校
課題曲4 ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス :ギリングハム
ここも技術力は高い。しかし何だろうね、こういう音の薄いマーチは難しい。何というか音と音の間に空間を感じてしまうというか、力み、緊張もあったかもしれないし人数も関係してるかな。なんか乗り切れてない感じ。
伝統的にこの学校はチューバをひな壇に上げる。おそらくホールではその方が良い(自分もそれを薦める)と思うが、音量は出るけどちょっとぼやけがちになるのも確か。
自由曲では一転、素晴らしいサウンド。混ざる場面と主張する場面、両方で良い音楽でした。ソロも上手。
大同高校 B編成代表
相変わらず弱音のアンサンブルはこの学校は絶品。なかなか評価されにくい曲ではないかと思うけど、この課題曲2はこの学校には合ってる。
低音スゲーな。と思ったらチューバ5本おるんかい(;^_^A
しかし良く合わせられており安定したど迫力の低音。
この学校の演奏は何回も聴いてきたが、上手いのにもったいないといつも思ってた。なんかそこまで抑えなくてもと思う感じで。しかし今年は違う。録音と言う事もあるかも知れないが、緻密なアンサンブルとある程度の鳴り。音楽として楽しめました。
木曽川高校 A編成代表
課題曲4の中では一番の出来かな。トリオに入ったところで行きたい人と歌いたい人のせめぎ合いがあったように感じた。フルートが入るまでやや不安定。しかしマーチとしての完成度、アンサンブルの質は申し分ない。
楽に吹いてる場面は素晴らしく良いサウンドなんだけど、トゥッティー強奏になった時の発音に問題があるかなと。タンギングと息があってないように聴こえる。終盤音高いし、分厚いくせに音に補強がないし、なかなかこの曲はスカッと行くのは難しい。
低音はよく2×2+木管でこの演奏を支えてるなと。
江南高校 A編成代表
トゥッティーのサウンドは抜群。言い方悪いけどなんとなくすかした演奏が多い中、熱さを感じる演奏。高校生らしくて好き。行こうとしてるけど鳴らしきれてない音もあるけど、音楽そのものを表現しようとする姿勢は素晴らしい。
課題曲自由曲通して、ややごちゃごちゃした感じもある。もう少し浮かせる音を浮かせて、抑える音を抑える。メリハリってのがハッキリすると良いかなと。
しかしサウンドは良いし、何より熱さと言う意味では本日一番。
ラストにこれが聴けて良かったです。
なんか、ひっさびさにコンクールをきいた感覚。
そりゃそうやわな、一年空いてるわけやし。久々に高校生の熱い思いのこもった演奏を聴けて超楽しかったです。
ちょっと一言
確かに、確かにね、この編成だし、吹奏楽だから木管との調和を考えないかんし、そしてなによりコンクールだから「うるさい」と思われたらいかんし、時代的にそういう音が主流なのもわかるんだけど、トロンボーン吹きの皆さん、一回これを聴いてみて
オーケストラのトロンボーンってこんなんなんよな。
オーケストラは編成も100人とかやし、この吹いてるブルックナーとかは中でも巨大な編成の曲やし、しかしさ
鳴らせる奏者が抑えてるのと鳴らないのは全然違う。
今日の演奏の多くがトロンボーンがユーフォと大差ない感じ。
今の吹奏楽はこんなんなんやと分かってはいるけど、しかしもっと息を入れる事を意識して欲しいなと思う。
柔らかく綺麗な音を出すのは良いけど、
鳴ってない音
ではダメ。綺麗な音出しててもそれがちゃんと息の入った「鳴った音」じゃないと。
さらにちゃんと行く場面では行けないと音楽として非常に欲求不満。
合奏として綺麗にまとまってるのは大事な事やけど、音楽そのものを表現しに行かないとただの音の塊。それだけでは聴いてる人に何も伝わらん。
鳴らすだけが音楽じゃない。しかし鳴らすのも音楽。曲中一回も行く場面がない曲ってほぼないと思う。
普段から息をしっかり入れて
トロンボーンの音
を出して欲しいなと、切に願います