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2021吹奏楽コンクール四国支部大会 高校A編成 結果&レビュー

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2021吹奏楽コンクール四国支部大会 高校A編成 結果&レビュー

 

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本当に凄い時代になった。

自分、昔四国に住んでまして、もう相当な何月が経ったわけですが、遠く離れた場所に住んでるので四国大会はそれから聴いてなかったわけです。しかしまさかここから四国大会がオンタイムで聴けるとは。

 

高等学校A部門


愛媛県立松山南高等学校 金賞

指揮 二宮洋子
課題曲Ⅳ
カプレーティとモンテッキ ~「ロメオとジュリエット」その愛と死~ 天野正道

 

非常に丁寧によくまとまった課題曲。

自由曲に入ると、この曲の前半は難しいね。様々変化していく中で縦横の粗が目立つ。曲中通して色の変化に乏しい。合奏としては良くまとまっているだけに、もうひとつ、場面に合わせた音楽の変化が欲しい。

 

愛媛県立伊予高等学校 金賞 

指揮 池田努
課題曲Ⅰ
吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」  高昌帥

よく鳴る低音。よって分厚いサウンド。これだけ低音が鳴ってれば少々の事は包み隠してくれる。課題曲はだいぶ雑だなと。さらにメインメロディーの吹き方が楽器によって違うのが気になる。自由曲のラストの盛り上がりは素晴らしいが高音のレンジが狭いのでインパクトに欠ける。金管高音の音に力みを感じる。自然に鳴らして合わせる事で音を響かせる事を意識。

 

高知県立岡豊高等学校 銅賞

指揮 山本美恵
課題曲Ⅴ
パッサカリアとフーガ ハ短調 582番  バッハ /大澤徹訓

自分としてはこの課題曲は評価しにくい。シェーンベルクと言うぐらいだから十二音なのはわかるが、音列と響きをどう扱うか難しいね。後半はマーチだと思うけど、これもう少し落ち着いた感じから始めた方が良いのでは?マーチと言っても普通の行進曲とは違うもの。この感じで行くと最後が難しくなる。

自由曲は良い挑戦かと思います。しかしバッハは難しいね。ちょっとした粗がすぐ目立つ。出してる音の良さから考えるとこの選曲は当たりだなと思う。しかし緊張からくるのか息が最初から出てない感じ。動きの中でフレージングが出来てないかなー。時々驚くような良い音がするけど何かを表現するには至ってない。

 

徳島県立徳島商業高等学校 銅賞

指揮 長町美希
課題曲Ⅱ
歌劇「イーゴリ公」より  ボロディン/石津谷治法

この人数にしてよくこれだけのサウンドを作るなと感心する。冒頭リズムの取り方が縦過ぎると言うか、これだけゆったりした冒頭がややマーチ気味に聴こえる。課題曲全体的に横に流れるフレーズ感が弱い。自由曲は、最終的にあれだけ慌てた演奏になるなら最初の部分はいらんでしょ。ダッタン人の冒頭は絶品。各ソロ、木管アンサンブルが激的に上手い。

金管中心に、音の発音に問題がある。立ち上がりが潰れて音として聴こえにくい音が多数。伸ばすと良い音なのにもったいない。短い音、速い動きでもタンギングだけで音を切るのは違う。そして多分短く切ろうとしすぎかなと。音が出てから音になる前に音を切ってる感じ。息は入れたままでタンギングを合わせる感じを意識。

ぺぺぺぺではなくダダダダと吹く。なんじゃそりゃ(⌒-⌒; )

 

 

高松市立高松第一高等学校 金賞

指揮 石川幸司
課題曲Ⅳ
バレエ音楽「三角帽子」より  ファリャ/森田一

この大会の中にあって物凄く都会的と言うか、ハイセンスな感じ。よくまとまった美しい演奏。吹き終わりの音の処理がぶっきらぼうな感じがする。しかし良いマーチ。金管、鳴らすと発音が乱れる。息とタンギングのタイミングが合ってない。良くまとまってるし、強奏は行こうとしてるのはわかるが、もうひとインパクト欲しい。

 

愛媛県立松山東高等学校 金賞

指揮 長谷川公彦
課題曲Ⅳ
ルンバ・ラプソディ  黛敏郎/仲田守

ピッチ悪い(⌒-⌒; )

しかし何をどうしたいのかこれでもかと言うぐらい伝わる課題曲。高校生らしく自分は好きな演奏。金管の音の発音が力み過ぎで潰れてる。あれだとどれだけ鳴らしてもなかなか客席に届かない。まずはパートでしっかり合わせて音を飛ばす事を考えるべし。自由曲に入ると本領発揮と言うか、各ソロの技術力の高さが際立つ。全体的に興奮度の高い良い演奏。

ホルン、ソロ絶品。パートごと上手い。今はまだ粗だらけだけど、来年どうなってるか楽しみ。それだけの可能性は感じる演奏でした。

 

香川県立高松北中学校・高等学校 銀賞

指揮 小林哲也
課題曲Ⅴ
吹奏楽のための交響曲「ワイン・ダーク・シー」  マッキー

この課題曲も評価が難しい。何と言うか、浮かせる音がどれなのか、どう言う響きにしたいのかが明確でない。平均的に演奏した感じ。自由曲も表情に乏しい。よく吹けてはいるが、どうしたいのか見えない。個々が出してる音は良いが交通整理が必要。縦横だけでなく、今どの楽器がメロディーなのか、周りはどうするのかって事。合奏の中で同じ動きをするパートだけを抜き取って徹底的にこだわって合わせてみる事。声部同士、同じ動き同士がどんな音の塊を作るのか、こだわりを持ってやってみるべき。多分また新しい音楽が見えて来ます。

 

徳島県立富岡西高等学校 銀賞

指揮 常陸貴生
課題曲Ⅰ
蒼き三日月の夜  樽屋雅徳

この学校もこの人数でよくこれだけのサウンドを作ったなと。人数的に響きと言う意味ではまぁ物足りないが、よく「鳴った」良い演奏。この人数ゆえの問題と言うか、どうしても個々が鳴らさないといけないので、個々の音は繊細さには欠ける。逆にこの人数なんだからもっと揃えられるだろうと思う場面多数。個々が一生懸命吹くのはまぁそうなんだが、もう少し揃えて鳴らす意識を持った方が良いかなと。

難しいんだけどね。この人数で50人と比べられるわけだから。普通の音出してたら迫力負けしちゃうしね。しかしよく頑張ってたと思います。

 

香川県立高松高等学校 銀賞

指揮 山田英司
課題曲Ⅳ
「GR」より シンフォニック・セレクション  天野正道

個々が良く吹いてはいるが、合奏と言うものを考えないと。おそらくピッチや縦の線に関しての意識はあると思うが、発音、フレージング、音の処理など、課題曲に関しては揃えた形跡が見当たらない。パートごとは当たり前だが、違う楽器と発音を合わすのはまた難しい。舞台上でしっかりアンサンブルをしないと。自由曲に関しては曲の雰囲気は良く表現出来出てる。しかしピッチが悪過ぎる。サウンド的なまとまり、フレーズ感は上手く行ってるけど、もったいねーなと思う場面多数。

 

高知学芸高等学校 銅賞

指揮 三谷安宏
課題曲Ⅳ
沢地萃  天野正道

奏法自体にやや無理があるかなー。絞り出したような感じの音がする。課題曲はなんか重量感のあるマーチ。まぁ少人数だし一生懸命吹かないといけないのはわかるんだけどね。自由曲で良い音が聴けただけに課題曲でちょっとリラックス出来ればなと。自由曲は良い音楽。ここでわかった。強い発音がいかんだけで音自体は良い。ソロも上手。ユーフォ&チューバ、お疲れっ!良いソロだった。チューバはなかなかソロなんか吹く事ないから緊張したと思うけど、上手かったぞい!

 

愛媛県立松山中央高等学校 金賞代表 

指揮 小西智
課題曲Ⅰ
歌劇「フェドーラ」より  ジョルダーノ/鈴木英史

良い合奏、良いサウンド、良い音楽。何をどうしたいか良く伝わる演奏。課題曲はTHE課題曲的な感じ。マイナス点が付けにくい。

ピッチの乱れはだいぶあるものの、木管のフレーズの長さは素晴らしい。音楽の線を感じられる。中高生としては神レベル。まとまりと言う意味では絶品だけど、曲的にややインパクトに欠ける。もうひと盛り上がりないと。

 

徳島県立城南高等学校 金賞

指揮 和泉康洋
課題曲Ⅴ
歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より  マスカーニ/宍倉晃

サウンド的には非常に良い。しかしピッチを合わせるレベルをもうワンランク上げないと。音が邪魔し合ってる場面多数。

トランペットソロ、重責ご苦労様ですっ!たまんないよな、あのソロ。上手く吹けてました。トゥッティーサウンドは良いが、鳴らした場面で音が邪魔し合って全体が鳴らない。この大会の多くの学校に見られるけど、鳴らす事と力む事は反比例。力まずにいかに楽器を鳴らすか。それ一番難しい。

 

愛媛県立三島高等学校 金賞 

指揮 谷口真也
課題曲Ⅳ
アッフェローチェ  高昌帥

素晴らしく元気の良いオープニング。合わせる意識は高い。課題曲として申し分ない。何をどうしたいのかよく伝わる演奏。金管のレベルが段違い。ややが固いと捉えられるかもしれないが、自分はこのぐらい鳴らさないとと思う。金管なんだから。自由曲冒頭の低音は絶品。良く合わせて音楽として成立してる。

フレージングが統一されてない部分も散見されるが、しかしよく鳴る金管でラストは良い盛り上がり。自分の中では2位です。

 

 

香川県立高松桜井高等学校 銅賞

指揮 波多翼
課題曲Ⅳ
歌劇「トゥーランドット」より  プッチーニ/濵口大弥

サウンド的には良く、高校生らしい演奏で良い。しかしやや雑に感じる。各セクションで持ってるテンボ感が違うなと。緊張もあるのかも知れないがちょっと転がる感じがある。その感じは自由曲に入っても続き、オーボエソロでようやく落ち着いた感じ。なんと言うか、息の吸い方とフレーズの感じ方、後半のクライマックスではそこがポイントだったような気がする。大きくズレてはないけど、行きたい人とゆったりしたい人が引っ張り合ってる感じ。物理的な事ではなく、感覚がしっかり合えばもっと響くはす。

 

愛媛県立松山西中等教育学校 銅賞 

指揮 若槻吉泰
課題曲Ⅱ
ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 作品77  ショスタコーヴィチ /若槻吉泰

フレーズ感が感じられない。フレーズが短い、なんかこう、テンボ通りに吹きましたと言う感じではこの曲はなかなかね。譜面上一番簡単かもしれないけど音楽として聴かせるのはおそらく一番難しい。

自由曲は、技術力は決して低くない。むしろこれだけの難曲をよく吹いたなと。ガチのコンチェルトをどうするのかと思ったけどよくこんな風にアレンジしましたね(⌒-⌒; )

しかしこう、コンクールとしてこの曲で良いのか?と言うのもある。なんとなく吹奏楽的な山が作りにくい。全体的にどうしたいのかが伝わりにくい印象。

 

香川県立坂出高等学校 金賞代表

指揮 田所博
課題曲Ⅳ
吹奏楽のための協奏曲  高昌帥

正直、課題曲前半は何らかのトラブルで動画が止まってて聴けなかった。

しかし良いサウンド。合奏と言う意味では文句のつけようがない程丁寧な演奏。丁寧なだけでなくしっかり音楽として充実感がある。

自由曲も素晴らしい。金管の技術力の高さは圧倒的。弱奏部がやや平坦に感じる。息を弱くしてもしっかりフレーズは表現しないと。各パートのアンサンブル力が高い。サックスアンサンブルめちゃ素敵。

自分の中では1位です。

 

高知県立高知西・高知国際高等学校 金賞

指揮 藤原慶希
課題曲Ⅴ
デュエンデ  アラルコン

これも課題曲は何らかのトラブルでほぼ聴けず。どうにかしてくれい。

自由曲は、なんじゃこの曲。なかなか面白い。技術力は高いね。各ソロ、難しい音程も普通に吹いてて凄い。バスクラ鬼上手い驚。合奏としても良くまとまってるが、サウンドがやや曇ってる。ちょっと原因はわからんけど、何かが何かを邪魔してんだよな。多分。曲的にバコンと鳴らす曲ではないが、もう少しスッキリすればこの曲は面白いね。

 

まとめ

地域によって合奏の傾向は様々。自分がいる愛知県大会はなんかわからんけど昔から、悪い言い方すると「スカした」演奏が多い。良く言えば上品とも言えるけど、何と言うか高校生らしくない演奏が本当に多い。

この四国大会は、合奏力と言う意味では劣る学校が多いが、高校生らしくしっかり鳴らしに来る、音楽を目一杯表現しようとする演奏が多く、おっさんとしてはやや感動しながら聴いてました。

無論、音楽を表現する為に技術力は必要。そして合奏の精度も必要。しかしコンクールの為の粗を見せないだけの演奏ではつまらん。

とは言え、今日本当に多いなと思ったのが、力みを帯びた金管の音。何と言うか、大きい音を出す為に息を出そうとするも逆に力んで息が出ずタンギングで強い音を出してる状態。

当然音としてこちらに来ず、打音プラスちょっと音みたいな状態になる。

力まずに楽器を鳴らす。普段からそれを意識して、そして個々がfffを吹こうとするのではなく、個々はfひとつでも全体で合わせてfffを出す。その意識が必要。

そして息が入れば音量ではなくニュアンスでfを出せるようになる。

金管のみならず、木管、打楽器も同じ。

難しいね。自分は高校時代力みまくってた人間だからよくわかる(⌒-⌒; )

最初にも言ったけど、スカした演奏よりは力みまくってる方が自分は好きだけどね。

 

さて、コロナ禍で大変な中、生徒はもちろん指導者、関係者の皆様、本当にお疲れ様でした。

これで引退の生徒もいるかな。

大変な中、ここまで来る努力をした事はこれからの財産となります。確実に。後になれば実感するけど、四国大会に出る事は普通の事じゃない。大半の人が来れない場所だから。

凄い所で演奏したんだと言う事は自信にしてこれからの人生頑張って下さいね。

そして2年生、1年生はこれからまた来年に向けて、

頑張ってこー!